「管理職教育・育成のエキスパート」

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  テーマ 92 チーム員と共に自己成長できる部署は
       他部署の人間も入りたがる
      

■部下の目線からみたよい部署とは

部下の方の立場に立つとその部署に長年いても
何も進歩できない、成長できない部署は、

将来に対する不安が増すばかりで魅力的な部署とはいえません。

自分の成長が実感できる仕事が行える部署、
そして人間が本来持っている仲間とともにいい仕事をしたい、

有意義な時間を送りたいという欲求が実現できる部署は、
他部署の人間も入りたい部署となります。

実務的には、部下の方からみるとよい部署というのは、
下記の3点が上げられます。

1.チームとしてのP-D-C-Aが確実に実践されていること。

  チームとしての共通の目標が設定されており、
  その目標達成のためのP-D-C-Aのサイクルがきちんと実践されている。
  P-D-C-Aのサイクルがきちんと実践されている部署は、
  改善も進んでおり、周りから見ると動きのよい
  メリハリのある活発な部署に見えます。

2.部署員一人ひとりに、本人の将来や成長を踏まえた、
  責任のある仕事が割り当てられている部署。

  本人の将来や成長を踏まえた、責任ある仕事が意欲の源泉となります。

3.仕事の進捗管理のためのコミュニケーションが、
  定期的、非定期に行われている部署。

  和気あいあいで楽しい部署というのが大切ですが、
  肝心要な目標達成のためのコミュニケーション、
  仕事中心のコミュニケーションがとられていない部署は、
  周りから見てよい部署とは見られません。
  本来あるべき必要なコミュニケーションが
  きちんと行われていることが、
  部署に対する信頼感、安心感となります。

上記のような部署は、
部下の方からも他部署からみてもよい部署と言えます。

言葉を替えるとチームワークが取れている部署とも言えます。

部署のチームワークをよくするためには
どのようにしたらよいのかというご相談を

管理職の方からよく聞かれますが、
部下の方の目線で、部下の方が魅力的に感じる部署とは何なのか、

部下の方は、何を希望しているのかを考えてみるのもよい方法です。

■担当部署内で起きることを切磋琢磨とするのか
 トラブルとするのかは管理職者の考え方

目標達成に向け、仕事をしている途中では、
上司と部下やチーム員同士でもいろいろな摩擦が発生します。

管理職者として、このような摩擦が発生した場合、
「またトラブルか」と思わないで、
「切磋琢磨」しているのだと思うことが重要です。

心理学に「ピア効果」というのがあります。

ピア効果とは意識や能力の高い集団の中に身を置くことで、
切磋琢磨しお互いを高め合う効果のことをいいます。

高い意識や能力を持った人間が集まり
お互いを刺激・感化させることにより、

集団全体のレベルアップに加え個々の成長に
相乗効果をもたらすということです。

目標達成の仕事の遂行過程の中で起きる摩擦は、
トラブルではなく、全て学習であり

切磋琢磨の過程なのだと管理職者がまず思うことが必要です。

管理職者の方が、まず思うことにより
管理職者の言動が前向きに変わり、

部下の方も学習の一環、切磋琢磨の一環と考えるようになります。

摩擦を恐れて、自分の考えや意見を言えない、
発言力の強い人間の言葉に部署全体が流されるという
事態は避けなければなりません。

強い部署、活気のある部署は、管理職者の方が、
ピア効果という言葉は知らなくて、

チーム員の方が、前向きで仕事に取り組む、お互いに刺激し合う、
全体がレベルアップするということが行われております。

管理職者の方の仕事に対する考え方、取り組み姿勢が重要です。

■部下の自己解決能力を信頼する

カウンセリングの創始者と言われる
アメリカの心理学者カールロジャース氏は、

来談者中心療法(非指示的面接法)というものをつくり出しました。

これは、「相談者の話をよく傾聴し、相談者自身がどのように感じ、
どのように生きつつあるかに真剣に取り組んでいきさえすれば、

別にカウンセラーの賢明さや知識を振り回したり、
押しつけたりしなくても、相談者自らが気づき、

成長していくことができる」というものです。

相談者の問題解決能力、自己決定能力に
完全な信頼を置くもので、コーチングとも似た考え方です。

これは、上司に方が部下の方の話を聴くときにも同じことが言えます。

部下の方の話の内容と部下の方の実際の仕事の内容や結果、
実際の行動などの事実を照らし合わせると、

部下の方が心の中で思っていることや葛藤など、
部下の方の言葉の真意が分かるはずです。

部下の方に答えを直接言って上げる場面も必要ですが、
上述しましたように、人は、だれでも自己解決能力を持っています。

このような人が持つ心理を踏まえて、
部下の方の自己解決能力を信じて、

自分で気づいてもらうようなコミュニケーションを
取ることも管理職者として重要です。

「団結力の強い部署」、「結束力の強い部署」「チームワークのよい部署」
をつくるにはどのようにしたらよいかとのご質問をよく受けますが、

部署を構成するチーム員の方が持っている
「いい仕事がしたい、仕事を通して成長したい」

という基本的な欲求を実現できる部署が、
「団結力の強い部署」、「結束力の強い部署」「チームワークのよい部署」

となります。そして他部署の人間も入りたがる部署となります。